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Bloody Signal

第10章 impulsively 枢√



「んっ……!!」

「……んっ」


 酸素を奪うように、玖蘭さんは何度も何度も私に口付ける。苦しいのと恥ずかしいのが混ざり合って、どうにかなってしまいそうだ。

 ようやく唇が離れたかと思うと……玖蘭さんの切なげな声が聞こえてきた。


「珠紀が錐生君の傍に行くだなんて……そんなこと、我慢できるはずがないだろう」


 彼の瞳は、赤く揺れていた。


「君が傍にいると、僕は僕でいられなくなる感覚を止められない。優姫には……大丈夫なのに。理性を押さえることが出来なくなる……君の綺麗な首筋に、噛みつきたくなる」

「っ……」


 玖蘭さんは私の首筋に顔を埋め、生暖かい舌で這う。ぴくりと身体が反応する。心臓の音が煩い。


「珠紀を放っておけだと? そんなこと、この僕が出来るはずないだろう。君に花を贈ったあの日から……ずっと、ずっと君を目で追って仕方ない」


 彼の熱い吐息が首にかかって、恥ずかしい。ただ今は黙って、彼の言葉に耳を傾け続ける。彼の言葉の一つ一つが、私の心に波を起こす。それはやがて津波となって、私の理性さえも呑み込んでいくみたいで。


「君を誰にも奪われたくない」


 玖蘭さんのその一言が、体内に解けていく。同時に、自分の意識が何処か曖昧に感じ始めた。彼の綺麗な首筋が目に映る……。

 奇妙な感覚に囚われる。これは、なんだろう? 渇き……?



 私は徐に、彼の首筋に噛みついた。

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