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Bloody Signal

第10章 impulsively 枢√



 真っ赤な血、零の獣のような姿。私はその場で腰が抜けたのか、床に崩れ落ちる。すぐに後ろから誰かが走ってくる音が聞こえてくる。


「優姫!」


 これは、玖蘭さんだ。姿を現した彼は、零と優姫を交互に眺めては目を細めた。零を睨んでいるようだ。


「っ……枢先輩! 零を殺さない……で」


 優姫は自らに近付いてくる玖蘭さんから、零を隠すように立ちはだかる。しかし、血を流しているせいかぐらりと倒れそうになる。すぐさま玖蘭さんは、優姫を抱き留めた。


「血の香りで正気を失ったか、このヴァンパイアの面汚しが」

「……っ、優姫……俺……は」

「彼女が立っていられなくなるまで、血を貪るなんて。そんなに優姫の血は、美味しかったかい?」


 零は絶望に満ちた表情で、苦しそうに俯いた。座り込んでいる私には、彼の表情がなおも見えてしまう。彼を安心させてあげたい。その一心で、身体に力を入れるけれど完全に腰が抜けているのか立ち上がることさえ出来ない。


「珠紀、大丈夫? 僕は優姫を保健室に運ぶけど、少しだけ待っていられる?」

「あの……私は、平気なので。その、優姫のこと……お願いします」

「……ごめんね」


 本当は、傍にいてほしいと思った。零が怖かったからとか、そういうのじゃなくて……たぶん、優姫の傍にじゃなくて、私の傍にと望んだだけ。


「錐生君に、珠紀。大丈夫かい?」

「理事長……」


 遅れて理事長がやってきた。理事長はすぐに零の肩を抱いて、私に告げた。

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