• テキストサイズ

Bloody Signal

第9章 mutate 枢√



『別に変わらなくてもいいのよ。貴方は、そこに一人で座り込み続けるだけだから』

『他の人は……?』

『他の人は変わっていくでしょう? 貴方は置いてけぼりよ』


 変わらないということは、立ち止まること。それは……変わっていくことを受け入れた人達に、置いて行かれるということ。


『置いて行かれたく……ない』


 一緒に居たい。

 傍に、居たい。


 玖蘭さんの……傍に。そして、優姫達の近くに。


『じゃあ、変わらないとね。自室の机の引き出し、二番目。鍵は本棚の上』

『どうしてそんなこと……知ってるの?』

『さあ?』


 彼女は笑って「またね」と呟いた。また……会うことなんてあるのだろうか? 夢なのに? その言葉を聞くと、私の意識はふわりと浮上した。








 目が覚めた時には、既に自室にいた。おかしいな……しかも夜。


「誰かが、私をここまで運んでくれた……とか?」


 服はそのまま制服を着ていた為、すぐに私服へと着替える。なんだかもう一度眠る気になれない……。夜に自室を抜けるのはいけないんだけど……何故か今日は部屋に留まる気になれなかった。


「……空気が、冷たい……」


 部屋を抜け出して徘徊し始める。そうだ、先程見た夢……もう一度理事長に話してみるのはどうだろう? 駄目かな……またはぐらかされるだけか。

 廊下を歩いて、ふと階段に差し掛かる。




「……え?」


 急激に血の香りが充満する。これは、何? 何が起きてるの?


「零……優姫?」


 私の声に反応し、二人が私へと視線を向ける。優姫は首元を押さえながら、零は……。


「零、その牙と血は……何?」


 彼の口元を汚しているのは、何?

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp