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Bloody Signal

第9章 mutate 枢√



「幼い時から一緒にいるんだ……特別な感情を抱いても仕方ないだろう」

「枢、それ本気で言ってるの?」

「……さあね。どうだと思う?」

「意地悪な質問だね。別に僕はどちらでも構わないけど……枢が大切なのはあの、優姫ちゃんだけでしょ? だったら、珠紀ちゃんにあまり干渉しないであげてほしいな」

「優姫が大事にするあの子を、僕が大事にするのは必要なことだよ」

「……違う」


 一条の言葉に、枢はぴくりと眉を動かし一条へと視線を向けた。枢の視界へと入り込む一条の表情は、いつもと違って何処か真剣だった。


「枢は気付いていないかもしれないけど、そんなことを理由に君は珠紀ちゃんを大事になんて出来るはずがない」

「……君の言っていることが、いまいち理解できないよ」

「そうかい?」


 いつまでも窓の外を眺めている枢に、一条は言葉を続けた。


「今の枢の行動が、何よりの証だと思うけどね」

「一条は珠紀の事をどう思っているの?」

「僕かい? そうだな……わりと好きかな。良い子だよね、本当に。だからこそ……悪戯に傷付けてほしくないと思うよ。枢に」

「……そうかい」


 静かに一条の言葉を枢は体内へと呑み込むと、ゆっくり瞳を閉じた。





 ◆





 見慣れた風景が周りと取り囲む。もうここは普通科の敷地なんだ……そう思うと、少しだけ安心している自分がいることに気付く。相変わらず零は、特別口を開くわけでもなくただ私の手を引く。

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