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Bloody Signal

第8章 inside 枢√



「全部好き」

「そっか、よかった。寮長と一条さんは嫌いなもの、ありますか?」

「はいはい! 僕はショートケーキが好き」

「僕は嫌いな物ないよ」

「一条さんだけ答えになってない……」

「え―」

「えー、じゃないです」


 三人のやり取りが可笑しくて、くすくすと笑ってしまう。だって、我慢出来ないんだもん。男の人が甘い物に囲まれている光景は、なんだかとても愛らしい。うん、三人共可愛いです。


「珠紀、好きなケーキを先に取るといい」

「そうだね! 何にする? 僕がお皿に乗せてあげる」

「俺がやるから……一条さん、紅茶」


 お言葉に甘えて、私はフルーツケーキを頂くことにした。他は一条さんが宣言通りのショートケーキ、玖蘭さんがチーズケーキで千里がチョコレートケーキ。どことなく三人のイメージ通りで、更に可笑しくなる。


「楽しい? 珠紀」


 隣に座る玖蘭さんが私の様子を伺うように、顔を覗き込んでくる。ちょっとびっくりしたけど「楽しいです」となんとか応えることが出来た。突然は心臓に悪い。


「僕もこうしてお茶会が出来て楽しいと思う。普段は一人で午後を過ごすことが多いから、賑やかなのも悪くないね」

「私もです。普段は一人でいることが多いですし……誰かといると言っても、優姫や零とぐらいですから。これだけの人数では初めてかもしれません」

「そう……。好きなだけ、居ていいんだよ」


 玖蘭さんに優しく頭を撫でられる。何もかも忘れてしまうくらいに、この場所は居心地がいいと思える。勿論自分の部屋も居心地はいいのだけど、一人と皆とではやっぱり違いがある。いいな……皆仲が良さそうで。

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