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Bloody Signal

第8章 inside 枢√



「ここが月の寮だよ」


 玖蘭さんの言葉に顔を上げた。大きな建物……下手をすれば普通科の男子寮や女子寮よりも大きいんじゃないだろうか? 夜間部は一つの建物に集められているから。普通科の寮より大きく見えるのは当然なのかも。実質、きっと広い。


「私がお邪魔しても大丈夫なんでしょうか?」

「構わないよ。どうぞ」


 中へとおそるおそる入る。ラウンジのようなところで、一人お菓子を貪っている千里を見かけた。彼も私に気付いたのか「あれ?」と声を上げた。


「珠紀がいる。どういうこと?」

「僕が招き入れたんだよ。これから僕とティータイムの予定なんだ」

「……一条さん、喜ぶと思うよ」


 どうしてそこで一条さんが出て来るんだろう?


「紅茶のことなら一条の方が詳しいし、仕方なく呼ぶとするかな」

「し、仕方なく何ですね……」


 玖蘭さんは浮かない顔を見せる。玖蘭さんは微笑んでいるのを見ることが多く、私自身彼はそういう人なんだと思っていたところがあるけど、近くにいると様々な表情を見ることが増えた。


「どうしたの? 珠紀。僕の顔なんてじっと見て」

「いえ! 何でもないんです」


 玖蘭さんの提案で、彼の部屋でお茶会をすることに。仕方なくで呼ばれたらしい一条さんは、嬉しそうに茶葉が入っているだろう袋を抱えて現れた。

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