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Bloody Signal

第8章 inside 枢√



 真っ暗な闇の中を走る。この夢を見るのは、もう何度目になるのだろう? 少しずつ見えなかったはずの風景が色付き始めて、景色は鮮明に変わる。

 森を抜けて、私の目に飛び込んできたのは赤く燃える炎。


『どうしてっ、どうして……っ!!』


 私は叫ぶ。紅蓮に燃え広がる、私のよく知る建物を見つめて。焦げた匂いが充満して、気分が悪い。それでも、叫ぶ。


『お父さんっ!! お母さんっ!!!』


 焼け落ちるのは、何?












「……っ、はぁ……はぁっ」


 額に汗を滲ませて、私は目を覚ました。


「あれ……おかしいな、あれを……私は、知ってる?」


 未だ乱れる呼吸を正しながら、胸元を押さえる。心臓の音が聞こえて、少しだけ安心する。大きく深呼吸を繰り返して、ようやく落ち着きを取り戻す。

 あれは何? 燃える建物、私であるはずの人の叫び声。お父さん? お母さん?


「……理事長なら、この夢をのことを何か知っていたりしないかな」


 今日は学校が休みの日。手早く服を着替えて、慌てた様に部屋を飛び出した。


 向かう先は理事長室。学校が休みの日だとしても、ここにはいつも理事長である黒主さんがいる。私を……今日まで育ててくれた人でもあったりします。

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