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Bloody Signal

第7章 Dissonance 枢√



「はいはい! 皆さん押さないで! 整列してください!」


 優姫の声が響く中、門が開かれる。淡い夕陽に照らされながら、白い制服が目に映る。


 不思議と視線はただ一人に向けられる。迷うことなく玖蘭さんを夜間部の生徒達の中から見つけ出せる。漆黒の髪が靡いて、ガラス玉のような瞳がゆっくりとこちらを……。


「え?」


 玖蘭さんは私と目が合うと、そのままこちらへと歩いてくる。周りの生徒達のざわめきも聞こえないとでも言いたげに、あの優しい笑みで私に声をかけてくれる。


「おはよう、珠紀。昨日はよく眠れたかい?」

「大丈夫ですよ。朝は相変わらず優姫が起こしてくれますから」

「自分で起きれるようにならなければ駄目だよ」


 そっと、私の頬を撫でる。冷たい手。けれど自然と嫌じゃない。


「はい、枢そこまで」


 一条さんが玖蘭さんの腕を掴んで、私の頬から手を引き離す。玖蘭さんは少なくとも、あまりいい顔はしておらず軽く睨むような形で、一条さんを見つめていた。


「いつから君は僕の保護者になったのかな?」

「拗ねないの。枢は周りに無頓着というか、少しは気にしてあげないと珠紀ちゃんが可哀想でしょ」


 その一言と共に、玖蘭さんがようやく周りの女生徒の視線がこちらに集中していたことに気付いたような素振りを見せる。あくまで、気付いたような……。

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