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Bloody Signal

第7章 Dissonance 枢√



「私は、純粋に玖蘭さんのこと……もっと知りたいと思っています。どうしてあんなにも優姫を大事に想っているのか、何故……優姫が大事にしているという理由だけで、私を大事にしてくれるのか。そんなことが、出来るのか」


 誰かを大事にするって、簡単じゃないと思う。

 大事にすることも、守ることも口にするのは容易いけど、凄く難しいこと。自分を大事にしていくことさえ、特に私には難しいというのに。そんな難しいことを……大変なことを、敢えてやっているあの人のことが気になって仕方ない。


「玖蘭さんがヴァンパイアなことは、わかっています。安易に近付いてはいけないことも。それでも私は……そういう外側だけで判断して、遠ざかっていくのは……違うと思ったんです」

「近づいたところで、君が傷付くとしても?」

「傷付かずに一緒にいることなんて、出来るのでしょうか……?」

「……無理かもね」


 そう言って、一条さんは小さく笑った。とても、困ったように。


 私は知りたい。玖蘭さんのことを。


「それでも、傷付けない様に努力することなら出来ると思います」

「強いね。珠紀ちゃんは」


 一条さんは私の頭を撫でると「そろそろ行かなきゃ」と図書館を先に出て行った。彼が残した言葉は、じわりと私の心の中を侵食していく。

 まるで、別の存在だから深入りするなと、拒絶しているように思えて……。







 結局授業をさぼってしまった私は、その足で優姫達の仕事現場を直撃……という名の野次馬みたいなものである。少し前まではまったく興味がなくて、何度優姫に誘われても見に来ようとはしなかったのに。今ではこうして自ら訪れてしまうなんて……。

 零辺りが知ったら、呆れてしまいそう。


 HRが終わったと同時に本を返却したお陰か、どうやら入れ替えの時間には間に合ったみたいだ。


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