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Bloody Signal

第7章 Dissonance 枢√



「……ど、どうしたの?」

「あっ……ううん。ごめん、その……珠紀に怒ったわけじゃないの! その、零も触れられたくない時くらいあるかなって……」

「……そっか」


 フラワーギフトデイが終わって以来、極端に零を見る日が減っていく。いつも彼がいる教室こそが、見慣れた風景だったはずなのに……少しずつ何かが変わっていくようで、怖い。


「珠紀?」

「……ん?」

「なんだか、不安そうな顔してる。零のことなら大丈夫だよ! その内ひょっこり出てくるに決まってるんだからっ」

「そうだよね」


 あの気まぐれの零のことだもの。きっと……またいつもみたいに面倒くさそうな表情で、出迎えてくれるよね?


「あ、私図書館に用事があるの。ごめん、優姫は先に教室に帰っていて」

「いいけど……時間大丈夫?」

「うん、平気」


 もし間に合わなければ、いっそのことサボってしまおう。珍しく私の思考は、あまり宜しくないことで占められていた。何故だろう? いつもと違う日常に慣れなくて、少し悪さでもしたくなったのだろうか?

 そんなことをしたところで、何も変わりはしないだろうけど……。






 図書館の扉をそっと開ける。お昼休みも終わろうとしている時間に訪れる生徒は、どうやら私一人だけみたい。世の中の真面目な学生諸君は真似してはいけないのですよ、と心の中で呟いておく。


「あれ……? 珠紀ちゃん」

「え? 一条さん?」


 図書館といえば、校舎とはまた別の別館に位置している。つまり、普通科と夜間部が時間を関係なく共有して使用できるスペースになっていたりする。ただ、夜間部の人が使用するためには事前に図書委員から許可を取る必要があるらしい。

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