第7章 Dissonance 枢√
「あの、ね……実は朝から玖蘭先輩におはようって挨拶されたの」
「うん」
「それだけだよ」
「ん……?」
本当にそれだけ……?
あまりにあっさりしすぎている気がして、私は思わず戸惑ったような顔を向けてしまった。
「もうっ、だから! 挨拶したってだけだよっ!!」
「……優姫って、本当に乙女だよね」
「それってどういう意味!?」
「ふふっ」
優姫らしいとは思った。でも、ヴァンパイアであるはずの玖蘭さんが、朝から活動しているというのは不思議な話である。また理事長にでも呼ばれたのだろうか? それにしては、とても頻繁に呼ばれているイメージが出来上がりつつあるのは、気のせいだろうか?
是非気のせいであってほしいですね。
お弁当を空にした私は、綺麗な青空を見上げてみる。いつも眩しい太陽は雲が出ているお陰か、少しだけ遮断されて私に優しい天気となる。だけど優姫は私とは反対に、太陽が出ている時にのんびりと外で日向ぼっこをしたい! というような子である。
うーん、このアグレッシブさ。見習うべきなのかな。
「ねぇ優姫。最近零、少し休みがちじゃない?」
「え……? そうかな?」
「風紀委員でよく一緒でしょ? 何か知らないの?」
「えっと……あははっ、それが私にもわからないんだよね。だから最近は一人で仕事してることが多くて」
「そうなの? ……一度、零の様子を見に行った方がいいのかな」
「それは駄目っ!!」
突然、優姫はびっくりするような大きな声で叫んだ。