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Bloody Signal

第4章 puzzlement



「どうして、そんなことを言うんですか」

「理事長から聞いたよ。君、僕らの秘密を黙っている代わりに風紀委員はやらないと言ったそうだね。それはどうして?」

「……なんでも、いいじゃないですか」


 玖蘭さんの手は、髪から頬へと滑り落ちていく。暖かい……こんなにも暖かいのに、私と彼はまったく違う存在だなんて、誰が信じられるだろうか?


「敢えて深くは聞かない。でも、君は忘れてはいけないんじゃないのかな? 僕らが、何であるか。知ってしまったらもう、戻れない」


 そうだ。その現実を受け入れてしまえば、私は今までと同じではいられなくなる気がしていた。彼らを直視してしまえば、知ってしまう、認識してしまう。

 彼らはやはり、ヴァンパイアなのだと。


「それでも私は……」


 受け入れたくない。認めない。それが唯一の抵抗だから。

 玖蘭さんは両手で私の頬を包み込んで、瞳を覗かせる。彼の瞳の奥に私自身が映り込んで、こんなにも近い距離で彼の顔を見る日が来るなんて思いもしなかった。

 私の瞳の奥にも、玖蘭さんが映っているのかな……?


「僕が、君の首筋に牙を立てたとしても? それでも君は、今と同じ思いを抱いていられるのかい?」


 まるで見透かされているみたい。玖蘭さんの手が、ゆっくりと離れていく。互いの距離さえも。

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