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Bloody Signal

第34章 happy ending 千里√



「珠紀」


 千里が私の両手を包み込む様に握った。その拍子に、思わず小瓶が音を立てて地へと落ちた。


「一度しか言わないから、よく聞いて」


 千里はそっと、私の手に口付けると……顔を上げて微笑んだ。


「どっちかしか選べないなら、どっちも選ばなくていい。人間の珠紀も、ヴァンパイアの珠紀も、俺は好きだから。いつか、同じ時間の中にいれなくなる時が来るかもしれない。でも……それでも、俺は最後まで、珠紀と一緒がいい。珠紀が、いいんだ。もし、珠紀が先に死んじゃうとしても……その時になってから、考えるね」

「……っ、千里……!!」


 今までよりも強く、私は千里を抱きしめた。


 いつもどこかで私の欲しい言葉をくれて、悩んでいる私の背中を押しては「いってらっしゃい」と見送ってくれる。不安な時も、傍にいてくれた。その温かな手で、私を安心させてくれた。


「今のままの私で……傍にいても、いいのかな……っ」

「……いいよ。何も変わらなくていい。そのままの珠紀で……俺の傍にいて。俺がこれからも、珠紀を守ってあげるから」


 足元にあったはずの小瓶は、いつの間にか消えていた。









 それからの学園生活は、怒涛に過ぎていく。途中で優姫と玖蘭さんが、行方をくらましてしまって……挨拶もなしに学園を去ってしまった。それでも黒主学園は変わらないし、普通科も夜間部も……零も私達も変わらない。

 何度目かの春、私達は……黒主学園最後の一日を過ごしていた。

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