第34章 happy ending 千里√
姉さんの血を飲めば、私の体内が変異し完全なるヴァンパイアとして純血種になれる。それは同時に人間であることを完全に捨てることを意味しているが、そうすればきっとナルコレプシーも治まるということなのだろう。
元々この反発する力は、私は姉さんの心臓を持っていることが原因。抑え込むためには、姉さんの血が必要……か。
「飲まなければ、どうなるのですか……?」
「別に今と変わらない。そうだね、もしくは少しずつ時を重ねるごとに沙耶の力に呑み込まれる可能性があるってくらいかな。あとはナルコレプシーを完治させることが出来なくなる。お察しの通りだよ全て」
「そうですか……」
千里と一緒にいたい。そのためにはやっぱり、千里と同じちゃんとしたヴァンパイアになることが理想なんじゃないだろうか? そうすれば千里も私を心配しなくて済むし、ナルコレプシーがなくなればもっと千里と同じ時間を過ごせるんじゃないのかな。
それに……今のままじゃ、千里と同じ時間で生きていくことも出来るのかどうなのか……わからない。
「受け取ります」
私は黒先生から小瓶を受け取った。
「……よい人生を、諸君」
黒先生はその場を立ち去っていく。私は手の中にある小瓶を見つめながら、千里へと視線を向けた。千里は表情の読めない顔で、複雑そうに私の手の中にある小瓶を見つめている。
これを飲まなければ、少なくとも今のまま……ナルコレプシーを持ったヴァンパイアと人間のハーフというわけだ。けれどこれを飲めば……完全に人間ではなくなる代わりにヴァンパイアとして覚醒し、その……純血種へと変異するのだろう。そうすれば少なくとも、私の寿命はヴァンパイアと同じ……長い時を生きる獣に成り果てるのだろう。
それでも……千里と、同じ寿命で生きていけるのなら……。