第34章 happy ending 千里√
「零! 記念写真撮らない? ほら、卒業写真!」
「はあ……? ぜってぇ、撮らねぇ」
「そう言わないでさ、お願い!」
「嫌だって言ってんだろ!!」
嫌がらる零を引きつれて、カメラを構える。シャッターを切ってしまえば零は仏頂面で「今回だけな」とぶっきら棒に言い放つ。彼らしいなと思いながら、私は卒業証書の入った筒を持ちながら辺りを見回した。
「あの人を探してるのか? お前、卒業式の後に教会で待ち合わせてるんじゃなかったのか?」
「あ、そうだった! ごめんね。私行かなくちゃ」
「おう、転んだりするなよ」
「しないよ!」
もう行き慣れ始めた教会への道を駆けていく。今の私には、もう太陽が眩しくて堪らないけれどそれでも今日だけは……少しだけいい気分だ。この太陽を浴びながら、大好きな人が待つ場所へ向かう。
息を切らして、あの恐怖の夜とは違う高揚感に包まれながら、私は走る。
辿り着いた教会は、太陽に照らされてとても神秘的に見えた。乱れた息を整えながら、ゆっくりと私はその中へと入っていく。
そうすれば、私が会いたくて仕方なかった彼の後ろ姿が見えて……声をかけた。
「千里!」
そうすれば、彼は振り向いて私へと微笑んでくれる。
祭壇近くでステンドグラスを眺めていた千里の横へ、私は並ぶ。