第34章 happy ending 千里√
「千里……私の方こそ、ごめんね……っ! ずっと傍にいてくれたのに……守ってくれたのに、何も知らなくて……っ」
「……っ」
「千里は一人で背負ってくれていたんだよね、私の生を……」
「そんな……こと」
「私は千里の事、恨んでなんていないよ。確かに辛いことばっかり思い出しちゃったけど……それでも私が学校生活の中で、ずっと傍にいてくれた千里に嘘はないでしょ?」
「……うん」
「目を閉じても開けても、千里が傍にいてくれてる……ちゃんとわかってたよ」
一人で全てを背負わせてごめんなさい。辛かったよね? どんな思いだったのだろう……私には彼と痛みを共有することは出来ない。それでも、もう二度と彼を苦しませたくない。一人にしない……。
「やめて、そんなこと……言わないで。許されている気に、なる」
「私は千里のこと、許すよ」
「っ……!」
私の全ての勇気を振り絞って、そっと千里にキスをした。
「千里、好きです。私は貴方の事が、好きです」
「……え……っ?」
「だから……私にも、貴方の罪を背負わせて」
抱きしめた千里の身体が、心なしか震えていて……気付けば私の背に千里の腕が回されていた。
「俺は出会った時から……珠紀の事が好きだよ」
とても遠い遠い旅だった。何もない自分が怖くて、けれどいざ全てを思い出すとそれはそれで怖くて。でもきっと私よりもずっと、千里の方が怖かったに決まってる。
一人で私が忘れてしまった全てを背負って、私に恨まれるかもしれないとわかっていてそれでも……。
愛しい人が守り続けてくれた私の世界。目を閉じても開けていても、私の世界の始まりは千里だ。