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Bloody Signal

第33章 love 千里√



「零……?」


 病室に、毎日お見舞いにやってきて気付いたことは、彼女はまだ少し記憶が混濁しているらしい。こうして俺を、誰かと間違えているのだから。

「今日もお見舞いに来たよ」

「毎日お見舞いに来てくれてるよね? ありがとう……嬉しい」

「……身体の調子はどう? 変なとこ、ない?」

「うん、大丈夫。先生もね、この調子なら来週には退院できると思うって言ってた」

「突然眠くなったりは……しない?」

「ううん、大丈夫だよ」


 どうやらナルコレプシーの症状はまだ出ていないらしい。

 それからも俺は、彼女が退院するまでお見舞いに通った。そして彼女が言っていた通り、次の週には退院していった。幸いにも、黒先生が根回しをしてくれたのか彼女は、黒主という男に連れられて仲良く出て行った。


 どうか、遠くで幸せになってほしい。そう……願った。


 俺も成長し、あの頃とは違い身体も丈夫になった。家のこともあって、俺は寮完備の高校に入ることとなった。しかもあの……黒主という男が理事長の学園。黒主学園にだ。

 俺は罰を受けているのだと思った。あんなことを珠紀にしておいて、自分だけ何の罪も背負わず生きていけるはずがないのに。きっと彼女が誰かと一緒に笑っている姿を見て、苦しめってことなのかと思った。

 どちらにしても、成長した彼女を見れるのなら……こんなに嬉しいことはなかった。




 とある昼下がり、お気に入りの中庭で本でも読もうかと思っていると……一人の少女が先に中庭を占領していた。

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