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Bloody Signal

第33章 love 千里√



「さて……何から話しましょうかね。貴方、支葵千里君ね? 支葵さんとこの」

「知ってるんですか……」

「名前だけよ。貴方もわかっている通り、私もこの人もただの人間よ。ヴァンパイアの貴族に関することは何一つ知らないの」

「だからこそ……君に私達から、尋ねておきたいことがある」

「なんでしょう?」


 珠紀のお父さんが、真剣な面持ちで俺を捉えて……言いにくそうに、けれどはっきりと尋ねてきた。


「やはり……沙耶は君達にとって、逆らえない絶対的存在か?」

「……。それはあの人が、純血種だとわかった上で俺に聞いているんですか?」

「その通りだ」


 何が何も知らない、だ。それだけ知っていれば、十分な程だと思った。この人達が俺に、何を確認したいのかはわからなかったけど言ってどうにかなるとまでは思っていなかったし、本当にこの人達には何も出来ないと思っていたから。俺は話した。


「それはまぁ、俺達程度じゃ意見することさえおこがましい程です」

「そうか……そうだよな。いや、実は少しだけ懸念していることがあるのだ」

「はあ……」

「沙耶は、もしかしたら私達を憎んでいるかもしれない……。何故と思われるかもしれないが、簡単に説明するとよくある恋愛沙汰、というものだ。それに珠紀はいつか巻き込まれるのではないかと心配でならない」

「……」

「頼む、とまでは言わない。けれどもし、君に珠紀を大事に思う気持ちがあるのなら……もしも私達に何かあった時は、代わりに守ってやってはくれないか? ああ見えて、あの子は泣き虫なんだ」

「俺みたいなガキに頼むことじゃないと思います」


 俺が出来ることなんて、きっと物凄く限られている。

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