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Bloody Signal

第33章 love 千里√



「千里、またねっ!」

「うん……また」


 "またね"の一言が、こんなにも嬉しいと思える日が来るとは思わなかった。珠紀の笑顔を見ていると、心が穏やかになって何もかもどうでもよくなる。あんなに寂しいと感じていた一人の時間も、次の日になればまた珠紀に会えると考えれば然程苦にもならなかった。

 いつしか俺の世界の中心は、珠紀にすり替わって行って……彼女と会うのが日課になっていた。

 何度か訪れた中で、一度だけ珠紀の両親に会う機会があった。





「君が千里君ね、どうぞ中に入って。一緒にお茶でもいかが?」

「でも……」

「ははっ、男の子が遠慮するものじゃないぞ! そこはどんっと構えていなさい」

「はあ……」

「千里、おいでっ」


 気さくに話してくれるお父さんに、優しそうなお母さん。珠紀がこんなに明るくて優しいのは、両親譲りなのかもしれない。そう思いながら、お言葉に甘えて珠紀の家で少しだけお茶の時間を楽しんだ。

 すると、途中から家に帰って来た沙耶が珠紀を呼んだ。


「珠紀、森の中へ花を摘みに行きたいの。一緒にどう?」

「行く! 千里も行こう?」

「珠紀、沙耶と二人でいってらっしゃい。お母さん達、もう少し彼とお話していたいの。駄目かしら?」

「……うんと、じゃあいいよ! 行こう、姉さん」

「そうね」


 一瞬、沙耶と目が合ったけど俺はすぐに逸らしてしまった。

 扉が閉まる音と共に、先程とは場の空気が変わっていることに子供の俺でも瞬時に理解出来た。

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