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Bloody Signal

第33章 love 千里√



「それね、白い薔薇の花! ここにだけ咲いている、唯一の薔薇の花だよ。不思議だよね、薔薇ってこういうとこには咲いてないものだって姉さんが言ってた」

「白い薔薇……」

「可愛いよね! 私薔薇の花、好き。でも綺麗な花ならなんでも好き!」

「……じゃあ、珠紀にいいものあげる」


 適当に彼女に似合いそうな色合いの花を摘んで、俺は花の冠を作っていく。俺には友達もいないし、外で遊んでもやることがないからこういうことばかり覚えてしまった。綺麗に編んだ冠を誇らしげに太陽に翳して、珠紀へと差し出した。


「んっ、出来た。あげる」

「くれるの!? わっ……花で冠って作れるの!? 初めて知った! 千里凄い! すっごい!!」

「結構簡単だから、珠紀でもすぐ作れるよ」

「ほんと!? 作ってお父さんとお母さんにあげたら、喜ぶかな!?」

「……喜ぶんじゃないかな」

「そしたらね、作り方教えてっ!」

「いいよ」


 一生懸命花の冠を編む姿は、とても無邪気で純粋で……俺の心まで真っ白にしてくれるような気がして、俺も夢中になって珠紀に花の冠を教えた。

 やがて夕陽が沈み始めた頃、先程の胡散臭い女……沙耶とかいう女がやってきた。


「二人共、もう遅くなってきたから帰りましょう。千里君、よければ送るわよ?」

「いえ、大丈夫です。俺は男ですし」

「そう? 珠紀と遊んでくれてありがとう。よければまたいらしてね」

「姉さん! はいこれ、千里に教えてもらった花の冠」

「私にくれるの? もうっ……珠紀、ありがとう」


 珠紀を優しく抱きしめるその女は、先程の胡散臭い笑みは何処へやら。泣きそうな顔で、本当に嬉しそうに冠を受け取って彼女を抱きしめていた。それの何がそんなに嬉しいのか……と俺は思ったけど、傍から見れば本当にただの仲良さげな姉妹にしか見えない。

 俺の勘違いであればいいんだけど……。

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