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Bloody Signal

第33章 love 千里√



「このガキ……っ!!」

「これが……俺の知る、珠紀の全てだよ」


 千里は血を啜る間に、先程ナイフで流した自らの血を口に含むと、私へと唇を重ねる。舌先に鉄の味がして意識が混濁する。


 目の前が砂嵐に変わり、何処かの意識へと繋がる。





 ◇◆◇




 俺と珠紀は、とある森の奥で出会った。あの頃の俺は身体が弱くて……友達と外で遊べない代わりに、よく一人で少しの間だけ出歩いていた。


「こんなところに……家がある」


 まるで人目から遠ざけるように、その家はひっそりと経っていた。ゆっくりと近付くと、背後で枝を踏む音がして勢いよく振り返る。

 そこには、一人の可愛らしい女の子が立っていた。


「……貴方、誰?」

「俺? 俺は……千里」

「千里……。私はね、珠紀! こんなとこで人に会うなんて初めてだから、びっくりしちゃった。どうしたの? 迷子さん?」


 自分と同じくらいの幼い少女。太陽に笑う彼女に、俺は自然と笑みを浮かべていた。なんだろう、今まで見てきた人達とは違う雰囲気を纏っている。ああわかった、彼女が人間だからか。それにしても、人間がどうしてこんな森の奥に……。


「どうしたの、珠紀」

「あ! 沙耶姉さん……っ」


 家の扉が開いたかと思えば、胡散臭い笑みを浮かべる女の人が出て来た。一目でわかった、この女はヴァンパイアなのだと。しかも質の悪いことに、所謂純血種。けれど純血種と言えば、今じゃ保護対象のはず。

 まさか、この女の家なのか? そうなると珠紀は……餌?

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