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Bloody Signal

第32章 true 千里√



「まったく、貴方って子はどこまで馬鹿なのかしら。忘れたの? 貴方から全てを奪ったのはこの私、貴方をヴァンパイアにしたのも両親を殺したのも全て……わたしのせい。そうでしょ? 憎い?」


 お願い……やめて。そんなこと、言わないで。私は沙耶姉さんの事、憎んだりしてない……。


「……あ、そう」


 姉さんが立ち止まる。どうしたんだろう……顔をあげれば、いるはずのない人が……そこにいた。まるで私が来ることを予想していたように。


「千里、おはよう」


 姉さんは私を装うように、いつも通りの口調で千里に声をかけた。目の前に現れた千里は……何処か怖い顔を浮かべて、こちらを軽く睨み付けていた。

 千里、お願い気付いて! それは私であって、私じゃないの!!


「おはよう、珠紀……。学校はどうしたの?」

「千里に会いたくて……どうしても、会いたくて。学校さぼって、来ちゃったの」

「ふぅん……そうなんだ」


 姉さんは千里に近付いて、そして……あろうことか千里にぎゅっと抱き着いた。


「あのね、私千里に伝えたいことがあるの。聞いてくれる?」

「……いいよ。言ってごらん」

「私ね……千里が、好きなの」

「……」

「好き、好きなの……愛してるの」


 私の顔をして、私の声で、私の身体で……。千里にぎゅっと抱き着いて、姉さんは言葉を紡ぐ。耳を塞いでしまいたい……目を閉じて、息を潜めて……。

 何も聞きたくない。そう、思った矢先……――

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