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Bloody Signal

第32章 true 千里√



「あの千里って子、貴方のなぁに? もしかして彼氏? ふふっ、いいわねそういうの。奪いたくなるわ……ねぇ、奪ってもいいわよね?」


 千里に何をするつもり!? 彼には、手を出さないで……っ。


「あのね、貴方が今こうして私に身体を乗っ取られる原因を作ったのは誰だと思ってるの!? 貴方が焦がれて仕方ない、支葵千里のせいなのに!!」


 ……それは……どういう……。


「全ての記憶を思い出したいのでしょう? いいわよ、私が手伝ってあげるわ」


 沙耶姉さんはその足で、夜間部へと歩き始める。何故か姉さんがその方向を知るはずはないのに、既に一度来たことがあるみたいに迷わず歩いていく。遠くで校舎の方から、授業を告げるチャイムが聞こえてくる。けれど、私はそこから遠ざかっていく。

 どうすれば、どうすればいいのか……。記憶は取り戻したい、でもそれによって千里が傷付くようなことがあれば……。そんなのは嫌だ!!


 姉さん、こんなことはやめて! お願い、止まって。


「千里が好きだから? だから止めるの?」


 そんなんじゃ……っ。


「ずっと傍にいてくれたものね、眠っている時も起きている時も。そしてどんな自分も受け入れてくれる……これほど幸せなことは、ないわよね? 羨ましいわ。だから私に頂戴な」


 あげるとか、そういうことじゃない……っ。千里だけは、傷付けないで……。

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