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Bloody Signal

第32章 true 千里√



「珠紀、どんな気分? この私に身体を乗っ取られるのは……」


 自分の意思と反して口が動く、言葉を紡ぐ。言っている意味が、よくわからない。


「私はね……沙耶。どうしてこうなったか、貴方には心当たりはないの? いつもと違うこと、していたわよね?」


 いつもと違うこと……。ふと、昨日黒先生に貰った、瓶のことを思い出す。もしかして、あれが原因だとでも言うの……?


「そう。あの瓶の中身、あれは何が入っているかざっくりと教えてあげる。あれにはね……血液が入っていたのよ。ヴァンパイアが好む……血液が。貴方はそれを摂取し、ヴァンパイアとしての本能が顔を出し始めた……それが、私」


 どういうこと? だって、今までこんなこと一度もなかった。


「それはそうよね、貴方は自分がヴァンパイアだとは知らない。しかも貴方の場合は変異型だから、ヴァンパイアが感じる血への渇望がない。とても厄介よねそれは……ということは、貴方が記憶を取り戻さない限り、私は外へは出てこれないのだから。でも貴方からすれば、どうして私が出て来たのかさえわからないのでしょうけど」


 沙耶姉さん……? 確かにその通り。どうして沙耶姉さんが私の身体を乗っ取って、意思を持って話して動けるのかがわからない。元々私の中に、眠っていたとでも言うの? 一体どうやって……。

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