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Bloody Signal

第32章 true 千里√



「酷い時に……か」


 ほぼ全ての過去の記憶を取り戻して、自分がヴァンパイアであることを知って……それでも私は今日も普通科の制服に袖を通す。昨日貰った瓶を見つめていると、ふらっと目の前がぐらつく。ああ……これは……。

 気付いた時には、瓶の蓋を外して一粒、掴んでいた。


 これを飲んだら、何かよくわからない黒いものに呑み込まれていくような気がした。それが気のせいであればいいんだけど……。


「酷い時に飲めばいいって言ってたもんね……」


 恐る恐る、口に入れて水で押し流す。少しの間座っていると、徐々に意識が戻っていくのを感じた。どうやら、正しく効いてはいるみたい。本当に飲んでよかったのかな……って今更か。


 それにしても、未だに思い出せないことがある。それは私があの大怪我の中、どうやって助かったか……だ。あの傷が塞がった? 一つの可能性としては、ヴァンパイアになった故に得た特殊な力か。例えば治癒能力とか。もう一つは……本当に奇跡だったか。

 結局はその二択しかないわけだけど、果たしてこの予想は正しいものなのか……。

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