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Bloody Signal

第31章 shade 千里√



「そんな言い方、ずるいよ。私がどう思っているか、千里は本当に知りたくないの? 言わなくてもいいって言うの? 本当は私の事なんてどうでもいいの!?」

「どうでもよくないっ!」

「……っ!」


 初めて千里の大きな声を聞いた気がする。今まで見たことない程に、顔を歪めて辛そうに私に言い放つ。


「俺が珠紀をどうでもいいって思ったことなんて、一度だってない!! ずっと珠紀を見てきた……笑った顔も怒った顔も、泣いている顔も……どんな珠紀も俺にとっては大切な珠紀に変わりはない。でもだからこそ思うんだよ……誰より幸せになってほしい」

「……!」


 千里の唇が、私の額に触れる。そっと、優しく触れたかと思えばすぐに離れていく。それが少しだけ、名残惜しいとさえ思える。


「珠紀が傍にいるだけで、俺はおかしくなっていく……珠紀を欲しい気持ちを抑えられなくて。でもそれじゃあ、駄目なんだ。まだ……駄目なんだ」

「何を言って……」


「支葵」


 教会の入り口で、誰かの声がする。あの子……見たことある。確か千里と同じモデルをやっている子で……。


「莉磨。何……」

「仕事、忘れてない?」

「あ……」

「マネージャーが車回してきてるから、急いで。そのままでいいから」

「わかった」


 千里は私から離れると、少しだけ私を見つめて……ゆっくりと私の髪を一束掴み上げると自らの唇に寄せる。

 キスを、落として。

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