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Bloody Signal

第30章 rewind 千里√



「やっ、千里……っ!!」

「……んっ、はぁ……ッ……んっ」


 これは……。これは、これは、これは……。


 ナニ?


 そうだ、これは……私……。

 血を吸われてるんだ。"ヴァンパイア"に……!


「あ……ああ……」


 混乱する頭で、ぐらぐらと何かが襲い掛かる。そう、前にもこんなこと……あったような……気が……。





 ◇



「――……見つけた」

「……! い、嫌……ッ」


 もうすぐ、目の前には沙耶姉さんがいる。どうして、どうして彼女はこんなことを……。


「姉さん! どうして、どうしてこんなことをしたの!? 私達は、貴方に……何かしてしまったの!? ねぇ、教えて……!」

「そうね……もう、最後になるかもしれないものね。教えてあげるわ……」


 姉さんは冷えた瞳で私を見つめて、何故か悲しげに……苦笑いを浮かべて語り始める。


「珠紀の両親とはね、所謂幼馴染だったの。と言っても、私は愚かなヴァンパイアの純血。そして二人はただの人間。けして……分かり合えるような関係ではなかったわ。でもね……貴方のお父さん……彼はそれでも私を、ただの女の子として接し続けてくれた」


 お父さんの話を始める姉さんは、なんだか少し穏やかそうで……そんな顔も出来るのかと驚いた。今まで見て来た姉さんは……いつも寂しそうだったから。

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