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Bloody Signal

第30章 rewind 千里√



「俺は、珠紀が嫌がらない限り。珠紀の味方だよ」

「……っ」


 そっと、千里は私の頭を撫でる。優しく撫でてくれる手が、私に大丈夫だといつも教えてくれる。時々思うの。夢の中で見るあの男の子が、千里だったらいいのになって……。


「私ね……ちゃんと、思い出したいって今なら思う」

「珠紀?」

「どんなにその過去が、悲惨なものだったとしても……ちゃんと思い出さないといけない気がするの。今日は過去の記憶を取り戻すために、何かそれに関連する手がかりを探せないかと思って」

「珠紀は本当に、心の底から思い出したいって……そう思ってるんだね」

「うん、勿論だよ」

「そう……じゃあ、一番いい方法があるよ。俺に着いてきて」

「え? あ、うん。宜しくお願いしますっ」


 軽く意気込んで、千里の後を追いかける。一体これから何処に向かうんだろう?


 いつもと違って、少し草木が生い茂る場所へと入り込んでいく。あ、歩きにくい……。


「あの、千里……これ今から何処に向かおうとしているの?」

「それは秘密」

「え!? 変なとこじゃないよね?」

「俺が珠紀に変な場所や、危ない場所に連れて行くと思う?」

「……そこはしないでいてくれる、と信じたい」

「信じたいじゃなくて、信じて」

「……うん」


 離れない様にと、そんな意味が込められているように彼が私の手を握る。もうこうして彼と手を繋ぐのは、何度目になるのだろう? 彼のいる優しい世界の中で、いっそこっちが夢なんじゃないかと誤解してしまうくらいに幸せで怖くなる。

 この先に待つのは、私が想像もつかないようなこと? それでも……千里がいてくれるのなら。

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