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Bloody Signal

第30章 rewind 千里√



「あ……珠紀。おはよう」

「おはよう、というか……どうしたの? こんな朝早くに」

「珠紀、暇だったら何処か行こうかなって思って」

「えっと……ごめん、今日は私やりたいことがあって」


 記憶の事、千里に言っていいのかわからなくて思わず誤魔化しちゃったけど、言った方がよかったのかな……。


「ねぇ、珠紀。もし俺に出来ることがあるなら、手伝わせてほしい。駄目?」

「駄目というか……そんなことはないけど」

「じゃあ決まり。今日は俺と過ごして、ね?」


 いつになく強引な千里に負けてしまった私は、とりあえず歩きながら夢で見たことを話してみようと思った。もしかしたら、誰かに話すことで何か得られるかもしれない。


「うーん……つまり、珠紀としてはそれは夢じゃないような気がするわけだ。自分の中から抜け落ちた、真実の記憶のような……見たことある光景っていうのも気になる。うん、確証を得たわけじゃないけどその線はあり得なくはないんじゃないかな」

「信じてくれるの? こんなよくわからない話」

「俺はいつでも珠紀の言葉、信じるよ。信じるし、信じてる……。何か、おかしい?」

「ううん。千里ってなんだか、いつも私の味方でいてくれてるみたいに思えて、心強なって思えただけ」


 眠っていても、目が醒めても、いつも千里が近くにいてくれているような気がする。だからかな……昔は眠ることも、目を開けることも酷く怖かった。その先には、私が知らない世界が果てしなく広がっているかもしれない、なんて思えて。

 勿論そんなことはないんだけど……。千里の存在は、その全ての不安を振り払ってくれる。

 彼を世界の中で見つけると、ああここは私が知っている世界なんだって安堵してしまう。

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