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Bloody Signal

第30章 rewind 千里√



「どうして……どうして、忘れてしまったのだろう」


 思い出したくなかったから? 思い出したら、失ったものの大きさを知って、私が壊れてしまうのを恐れていたから? それとも……違う理由なのかな。


「確か、今日は学校休みの日だよね……もっと何か思い出させれば、私が忘れてしまった理由もわかるかもしれない」


 目を閉じて、浮かんでくるのは先程の夢の出来事。両親のこと、どうしてあんな大切なことを私は忘れてしまっていたのかな。そりゃ忘れていれば、辛い思いをすることもないのかもしれないけど。それが私の望んだことだったのかな?

 全部思い出したい。そうすれば、時々夢の中に出て来る男の子のことも、わかるかもしれない。


 そう思っていた矢先、扉をノックする音が聞こえてくる。


「誰?」

「私、優姫だよ。あのさ、寮の前でその……支葵先輩がいるんだけど……行ってあげてくれないかな? 珠紀が出て来るのをずっと待っているみたいで、他の生徒達から話しかけられてて上手く収集がつけられそうにないの」

「千里が……? わかった、今行く」


 こんな朝早くにどうしたんだろう? 一先ず服を着替えて、急いで寮の前まで出て行った。

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