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Bloody Signal

第29章 trigger 千里√



 放課後、優姫に誘われてなんだかんだでまた夜間部の出迎え? というのに来てしまったけど……前回少し目立ってしまった気がするから、本当のところは来ない方が良かったのかなと少し後悔していたりする。うん、でも別に何もやましいことはないし……気にしすぎだよね?


「ん……っ!」


 目の前がぐらりと揺れた気がした。木に手を置いて、倒れるのをなんとか堪える。これは……いつもの? ただ薄らと断片的に、脳裏に何かが蘇った気がして……。私は、何かを思い出そうとしているの?


「珠紀?」

「え……っ!?」


 驚いて顔を上げれば、心配そうに見つめている千里が立っていた。いつの間に……。


「様子がおかしかったから、気になって。どうかした? もしかして……また、例の?」

「あ……えっと、たぶん」


 そう答えて俯けば、千里は優しく私の頭を撫でてくれる。ふと昨日の出来事が浮かんできて、急に恥ずかしくなる。今まではそんなこと、なかったのにね。


「無理だけはしないで。珠紀に何かあったら……俺、嫌だから」

「千里?」

「今日はちゃんと授業に出ないと、今度こそ玖蘭寮長に怒られそうだから。行くね。えっと……もし大丈夫じゃなかったら、今俺を引き留めて」

「え……っと」


 たぶん、大丈夫だとは思うんだけど……。ど、どうしよう。でも彼をこのまま引き留めておくわけにもいかないし。

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