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Bloody Signal

第3章 Lady



 女子生徒達が私を追い詰めるように、詰め寄ってくる。逃げることは出来そうもない。少しずつ後ろへ下がるけど、背中には壁。

 一人が私を叩こうと思っているのか、手を振り上げる。


 ――やだ……っ!


 咄嗟に目を閉じた。





「君達、そこで何をしているのかな?」

「え……?」


 手を振り上げていた女子生徒が、呆気に取られたように呆けた声を発して、後ろを振り返る。痛みが訪れないことと、声の正体が気になって私はそっと目を開けた。


「玖蘭先輩……っ!?」


 教室が一気にざわつく。私を取り囲んでいた女子生徒達は、まさかの展開に動揺が隠せないのか、少しずつ私から距離を取り始める。


「珠紀に何をしようとしていたの?」

「こ、これは……その……」


 玖蘭さんは目を細め、躊躇うことなく教室内へと足を踏み入れた。私でさえも呆気に取られてしまって、ただ彼を見つめることしか出来ない。自分の身に起きようとしていた現実を、まるで忘れるかのように。


「珠紀、優姫が君のことを心配していたよ。ちゃんと寮に帰れるのかって」

「優姫が……? えっと、玖蘭さんはどうしてここに?」

「迎えに来たんだよ。帰ろう」

「え……っ!?」


 私ったら、驚いてばかりかも。

 玖蘭さんに強引に手を引かれ、教室を出ようとする。けれど、一度足を止めて玖蘭さんは今まで初めて聞くような低い低い声で忠告のように、私を取り巻いていた女子生徒達に告げる。

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