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Bloody Signal

第27章 aloud 千里√



「明日、お昼休みにあの時と同じ中庭に来て」

「……どうして?」

「どうしても。あ、来なかったらお仕置きね」

「何するつもりなの……」

「さあ? 教えたら、意味ないでしょ」


 千里に手を引かれ、私達は教会を後にした。振り返った先に見えたのは、薄暗い教会だけでなんだかとても……この敷地内にある建物のようには思えなかった。不思議、本当にあの建物があったことさえ今まで知らなかったなんて。


「驚いた? あの教会」

「え? ああ……うん、まさか協会があるなんて全然知らなかった」

「そうだね……ここは一番人目につかないところにあるから、余計だろうね。それに誰も今日かいなんて来ようとは思わないだろうから」

「そうかな? 確かにうちはそういう信仰みたいなものもないけど」

「神様にお願いするより、自分の力で叶えた方がいいに決まってる」

「(あ、そういう意味ね……)」


 いつの間にか見知った場所に出て来たかと思えば、もうすぐ寮の目の前だった。


「あの教会、珠紀の寮から近い場所にあるんだよ。でも本当に木々に隠れてひっそりと建っているから……あ、サボるときはおすすめ」

「サボらないから、使う予定はないよ」

「そう? じゃあ、いつか一緒にサボろうね」


 千里は微笑んで私の頭を撫でた。だからサボらないって言ってるのに……。本当にいつか、そうなってしまう気がして、私もつられるように笑った。

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