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Bloody Signal

第26章 dear 千里√



『あのね、コツさえ掴んでしまえば簡単に出来るんだよ』

『私も作れるようになりたい! それでね、お父さんとお母さんに贈ってあげるの!』

『喜ぶと思うよ。君のお父さんとお母さん』


 この光景、私何処かで見たことがあるような気がする。何処だったかな? やっぱりこれは……私が失った記憶の断片?

 だんだんと景色が遠くなっていく。自然とこれの夢が醒めてしまうことが、わかった。






 身体を揺さぶられる感覚で、目が醒める。


「珠紀、ほら起きて。放課後だよ」

「……んっ」

「もうすぐ私風紀委員で行かなくちゃいけないの! ほら、起きるっ」

「……優姫?」


 腕の隙間から、優姫を確認する。どうやらいつの間にか、私は眠ってしまったらしい。眠って……というか、あの感覚はナルコレプシーに違いないだろう。ふっと意識が途切れる感覚がした。


「またナルコレプシー? 零が先生に言ってくれたお陰で、怒られる心配はないよ。はい、今日のノートの分。明日絶対持ってきてね」

「あ……いつもごめん」


 こういうことはわりとある。授業中なんてのは、まだ運がいい方だ。ただ一日の授業内容をまったくノートに写せないまま終わることが多くて、テストの時には不利だ。

 その分、事情を理解してくれている先生方に、しっかりと復習をお願いしておけば問題はない。

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