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Bloody Signal

第25章 calm 千里√



「もしも珠紀が俺のことを、本当に優しいと思ったのなら……それはたぶん珠紀にだけだよ」

「え? な、なんで?」

「珠紀は俺を、ただの支葵千里として見てくれる唯一の人だから」


 それってそんなに珍しい事なのかな? 私が首を傾げていると、千里はふっと笑って立ち上がった。気付いたことだけど、千里って遠くで見てると本当に笑わないってイメージだったけど、今目の前にいる彼はどうだろう?

 年頃の男の子らしく、よく笑うし穏やかな雰囲気もあるし。なんだか普段とギャップがあるかもしれない。今度彼が出ている雑誌を買ってみよう。


「たぶんそれは、私だけじゃないと思うよ」

「それはどうかな」


 千里が私へと手を差し伸べる。


「寮まで送るけど、どうする? まだ寝ていたい?」

「……ううん。でも、いいの? 迷惑じゃない?」

「迷惑だったらこんなこと言わない。ほら」


 彼の手を取る。冷たいのかと思ったら、意外と暖かくてきゅっと思わず握る。誰かの体温を感じるって、こんなにも心地いいものなのかな。

 握り返された手を見つめながら、私は千里の手によりベッドから出る。そのまま離されてしまうのかと思ったけど意外にも繋いだまま廊下を歩いていく。もう既に下校の時間が過ぎているせいか、他の生徒達は見当たらない。

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