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Bloody Signal

第25章 calm 千里√



「あれ……」


 手に何か、温かいものを感じて視線を向けた。そこにはしっかりと、私の手を握る誰かの手。誰……? そのまま視線で追いかけてみると、先程まで一緒にいた千里が椅子に座ったまま私の手を大事にそうに握って、突っ伏したように眠っていた。

 どうして……? そう思うよりも先に、ぴくりと千里の手が動いた気がした。


「……珠紀?」

「千里、あの……どうして、まだここに?」


 私がそう尋ねると、千里は「うーん……」と軽く唸るとふっと笑みを見せた。


「ん、起きた時に誰もいなかったら寂しいかなと思って」

「……っ!」


 胸がドキッと高鳴る。きっと本人は無意識なのかもしれない、そうでなければそんなことをさらっと言えるわけがないんだ。そうだ、そうに違いない。


「千里は……優しいんだね」


 そう答えるので精一杯だった。けれど千里はやんわりと微笑むだけで、私の言葉には応える様子がない。なんだろう、もしかして……気に障ったとか?


「優しいって……一体何なんだろうね」

「え?」

「自分に都合がいいから、優しいと思えるのか……でもだからって本当にその人が優しいとは限らないよね」

「千里……?」


 やっぱり気に障ったのだろうか? 私があたふたしていると、千里の綺麗な瞳が私を見つめる。

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