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Bloody Signal

第24章 tomorrow 零√



「俺はお前が、好きだよ」




 勢いよく顔を上げた。

 零の優しい微笑みが映って、私は瞬きを繰り返す。


「言うつもりなんてなかったんだ……どうせお前とずっと一緒にいられないのなら、こんな気持ち、意味なんかないって思った。でも……必死に俺を求めるお前を知って、俺に好きだと伝えてくれるお前を見て。人間だとか、ヴァンパイアとか関係ない。俺はお前が……好きなんだ」

「嘘……」

「嘘かどうか、確かめてみるか?」


 目を閉じる。空白の後、零の体温をもっと近くに感じたかと思うと、そっと唇が合わさった。一瞬強張った私の身体を、優しく溶かしていくような……。

 どうしてだろう、零とは何度もキスをしたけれど……これが初めてするキスのように感じられた。


 唇が離れていく。


「俺は最初から、お前の想いを信じていたよ……」

「……っ、零!」


 彼の首に腕を回して、強く強く抱きしめる。


「……なぁ、珠紀。俺はもう一度ここから、お前とやり直したいって思うんだ」

「零?」


 ことん、と私のポケットの中から小瓶が落ちる。それは例の、赤い液体の入った小瓶だ。私は慌ててこれを掴むと、ふとある思いが過る。


「零、あのね。これを飲むと、私は零と同じものになれるかもしれないの」

「同じもの……?」

「うん。そうすればね、永遠とまではいかないかもしれないけど……今より零と一緒にいることも出来るかもしれない。閑さんは私は不完全なヴァンパイアだって言ってた、それが何を意味しているのか……今はわからないけど。でも」

「……」


 零はいきなり私から小瓶を奪うと、あろうことか蓋を開けて自ら飲み干した。

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