第24章 tomorrow 零√
「零……?」
「馬鹿野郎っ!! なんでこんな無茶なことするんだっ!」
「……さっき言った通りだよ? 私は……」
「それにお前……お前は、何なんだ?」
零の瞳が、私の瞳を覗き込んでいるような気がして。何が言いたいのかを瞬時に理解した。
「私ね……ヴァンパイアなんだって」
「はあ……?」
「零と同じように、昔純血種に噛まれて……それから……誰かに助けられて、生き延びて。でも、私は……ヴァンパイアだから……」
「お前、自分が何を言っているのか……わかってんのか?」
「……うん、たぶん。閑さんにね……噛まれた時、私の中に無くしたはずの記憶が流れ込んできたの。それが本当に私の記憶なのか、わからないけど……でもたぶんきっとそう。私の……記憶なんだ」
目を閉じれば思い出せる、あの日何があったのか。全てとまでは言わないけれど。そっか……私はあの時、死んだはずなんだ。でもじゃあ、あの時見えた少年が私を助けてくれたの?
零は私をもう一度、強く抱きしめた。
「お前を失ったかと思った」
「え……?」
「閑に噛まれているお前を見て、物凄くあいつを殺してやりたい気持ちになった。同時に、お前が……死んでしまうような気がして、怖かった」
「零……」
零は私を失うことなんて、何も怖くないんじゃないかと思ってた。でも違うの? そう思った瞬間、不謹慎だけど嬉しいなんて思ってしまった。