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Bloody Signal

第24章 tomorrow 零√



「まりあの身体を通して、徘徊していた。私の身体は……最早限界に近いのだ。わかるか? 沙耶」

「違う……私は、沙耶お姉さんなんかじゃないっ!!」

「零を助ける方法、だったな。それは簡単だ……零に、私の血を与えてやればいい。それで全てが上手くいく。そう、全てが」

「どうして……貴方の血を」

「知りたいか? それは……零をヴァンパイアにしたのは、この私だからだ」


 着物を着た女性、閑さんはゆらりと立ち上がり私へと近付いてくる。動くことが出来ない、怖いとかそういうものじゃない。冷たい手が、触れる。


「そうすれば零は、永遠に私の奴隷になるのだ」


 目の前が真っ暗になっていくのがわかる。ううん、意識はある。ただ……絶望に似た感情が体内を支配し始める。どろどろとした感覚が流れ始めて、血が逆流を起こすように。沸騰する。


「おお……やはり珠紀、お前もヴァンパイアだったか」

「え……? 珠紀?」


 優姫の声が遠くに聞こえる。閑さんの瞳に映る私を、見た。

 赤い瞳が、私自身を捉えていた。


「赤い瞳、その口元から零れそうな牙。お前はヴァンパイアだ、そう紛れもなく。沙耶にかみ殺されたあの夜……お前はまんまと生き延び、その生を繋いだはいいものの。両親を殺した女に噛まれてヴァンパイアとして生き延びた。そう、丁度零のようになっ!」

「零と……同じ」

「しかし、お前はまだ完全ではない。渡されているのだろう? 沙耶から……」


 閑さんの瞳が赤く染まり、私に問う。


「さあ、何処だ? 沙耶の血を私に渡せ。奴の血を取り込めば、私に力が宿る。純血種の、血を」

「教えない……っ、誰が教えるもんかっ!!」

「ならば……お前の体内にある沙耶の血を、よこせ」

「……っ!」


 閑さんは強く私の頭を固定すると、首筋へと容赦なく牙を突き立てた。


 彼女が私の血を啜る度、まるで走馬灯のようにぐるぐると巻き戻しで見たことのない景色が見えてくる。頭が痛い、一気に脳味噌に記憶を詰め込まれていくようなごちゃごちゃとした感覚に壊れてしまいそうだ。

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