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Bloody Signal

第23章 ache 零√



「永遠なんて、あるわけないだろう。お前は俺とは違う誰かと、ちゃんと幸せになるんだ。ああ、でも……俺の知らないところで、勝手に幸せにでもなっててくれ。じゃないと俺は……発狂して、死んでしまいそうになる」

「私が零の傍にいるから! ずっと、いつまでも傍にいるからっ……」


 零は私の頭を撫でて、ぽたりと滴を零す。目を見開いて、彼を見つめてみれば穏やかな表情を浮かべて、涙を流す彼がそこにいた。


「俺が……珠紀の傍に、いたかった……」


 全てを振り払うように、零は私から離れて勢いよく手摺に手をかけ、下へと飛び降りる。私は必死に彼を追って下を見下ろした。相変わらずの運動神経で、何事もなく下へと着地した零は、私を見上げては……呟いた。


「    」


 私が言葉をかけるその前に、零は走り去っていく。今すぐ追いかけなくちゃ、だって……だって声は聞こえなかったけど! 零が私になんて言ったのか、私にはちゃんとわかるっ!!

 振り返ってテラスを出る為、扉へと向かうと一つの影がゆらりと伸びる。


「珠紀、何処にいくつもり……?」

「まりあ……」


 にっこり笑った彼女が、綺麗な黒のドレスを纏って私をしっかりと見つめている。


「自分がやらなくちゃいけないこと、ちゃんとわかってる?」


 まりあの言葉が、私の胸を刺す。そうだ……優姫を、優姫を彼女に差し出さないと零を助ける手段は、永遠にわからないまま。


「わかって……る」

「そろそろいい時間だわ。さあ、始めましょう? 貴方の大好きな零を、助けるために」


 赤い月が、顔を覗かせていた。

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