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Bloody Signal

第23章 ache 零√



「例えそうだとしても、お前は俺が言うまで待つんだろう?」

「……うん」


 零は大きく息を吐くと「参るよ」と呟いた。


「なんで俺達、もっと違う形で出会えなかったんだろうな」

「どうして?」

「俺もお前も、その辺の奴らと同じ五体満足で、何もないただの人間だったなら……違う想いを抱いて傍にいれたのだろうか」


 私が口を開いたと同時に、零が私の口を塞ぐ。目の前に彼の顔があって、暖かいぬくもりがあって。

 どうしようもなく、零が好き。好きで好きで、堪らない。


 優しく触れてくれる手も、重なる唇でさえも、その瞳に私を映してくれるのなら私は何にでもなれるような気がしてしまう。

 いっそ、彼と同じものになってしまえば……ずっと傍に居続けられるのだろうか?

 彼の痛みに、寄り添える自分になれるのだろうか?


「っ……、珠紀」

「……何?」


 惜しむ様に、互いの唇が離れていく。零はただ小さく「ごめんな」と呟くと、私の頭を撫でて遠ざかっていく。


「零……! その身体で、大丈夫なの!?」

「……珠紀の事、充電したから平気」


 ふっと薄く笑うと、木々の中へと消えていく。


 私の頭の中に、まりあの言葉が急に過る。零を助ける方法……それがあれば、今とは違う未来を一緒に見ることが出来るのだろうか?

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