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Bloody Signal

第23章 ache 零√



 着々と準備が進む中、ふとそういえば最近零の姿を見ていないことに気付く。大丈夫なのかな……血液錠剤を受け付けないのだから、そろそろまずいのではないのだろうか。探そうにも舞踏会の準備に追われていて、そんな余裕が私にはなかった。


「珠紀! 次こっち手伝ってもらえる?」

「わかった!」


 優姫も同じくあっちこっちと駆け回る日々。とてもじゃないけど、零のことを聞ける雰囲気でもない。会いたいな……零に。


「珠紀? 少しぼうっとしてるけど、平気? 少し休む?」

「え? あ、大丈夫だよ優姫! なんていうか、慣れないことばかりで次は何をしようって、頭で考えていただけだから」

「そっか……それならいいんだけど」

「私、そろそろゴミ出しに行ってくるね。このままじゃ教室がゴミ袋で溢れちゃうから」

「うん、わかった。気を付けてね?」

「大丈夫だよ」


 持てるだけゴミ袋を抱えると、教室を出ていく。こんな日々も、今日で最後だ。明日には舞踏会がある、その日に私は……優姫を。


 そんなことを考えながら歩いていると、どんっと身体が何かにぶつかる。その拍子で後ろに転びそうになるのを、誰かが助けてくれた。


「す、すみませ……あっ」

「何やってんだよ、珠紀」

「零!?」


 嘘……っ、零だ。

 最後に会った時と変わらない様子の彼が、いつもの呆れた様子で私を支えてくれる。

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