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Bloody Signal

第22章 Waltz 零√



「珠紀は本当にその人のことが、大切なんだね」

「うん……そうだと思う。だからきっと悩むし、迷ったりする」


 これは私の、初恋だから。

 大事に大事に守っていきたい。この想いごと、彼を。勿論それが私の自己満足だと言われても、それでもいい。一人で抱えないでほしいから。辛いことも苦しいことも、私も背負っていきたいから。


「貴方の大切な人を救う手段、知りたいと思う?」


 突如物陰から声が聞こえてくる。顔を覗かせたのは、見慣れない少女。でもこの人……白い制服を着てる。


「紅、ここは普通科の敷地だから入って来ちゃ駄目って寮長が言ってたでしょ」

「あらそんなこと言うの? 千里君は。私転入生なんだから、いろんな場所を教えてくれてもいいでしょ? 入っちゃ駄目とか、つまらないこと言わないで。ね? それにここにいる千里君が言えることなのかな」

「転入生……?」


 私が彼女へと視線を向ければ、彼女もこちらを向く。


「初めまして、紅まりあと言います。先日この学園に転入してきたの、宜しくね? 珠紀」

「なんで私の名前……」

「仲良くしてみたくて、教えてもらったの。理事長さんに。私のことはまりあと気軽に呼んでね? あ、それと……」


 彼女の瞳が、一瞬赤く光った気がする。獲物を狙う化け物の、鋭い視線が私を貫いた気がして、寒気がした。

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