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Bloody Signal

第21章 dusk 零√



「女子って、皆あんな感じな訳?」

「どうだと思いますか?」

「ん――……あんまり考えたくないかもな」


 英さんはいきなり私の手を引いて、私が元来た方へと歩き始める。え?


「あの、英さん……私これから授業なんですけど」

「ごちゃごちゃ煩い。黙って僕に着いてこい」


 渋々英さんに連れられて来たところは、以前一度だけ来たことがある中庭。そういえばここで、初めて千里と出会ったんだっけ……。


「あ……っ」


 そんなことを思っていたら、人影が一つ。本を読みながらあくびを噛みしめている千里がそこにはいた。


「ん……? あ、珠紀」

「少しこいつのこと、見張っててくれないか? 僕は今から用事がある」

「え……俺に押し付けていく気?」

「後でポッキーやるから! じゃあ、頼んだからな!!」


 何故か英さんは私をここに置き去りにして、台風のように去って行った。あ……さっきのお礼、言うの忘れちゃった。


「座れば?」

「……いいの?」

「うん、いいよ。来なよ」


 ベンチの真ん中に座っていた千里が、片方空けてくれる。お言葉に甘えて、隣へと腰掛けた。あの時と同じだ……凄く天気が良くて、風が気持ちいい。ただ以前と違うところと言えば、少し風が冷たくなったことくらいか。


「……何かあった?」

「え?」

「目元、腫れてる」

「……!」


 全然気付かなかった。一応鏡は確認してきたつもりだったんだけど……駄目だなぁ。

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