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Bloody Signal

第21章 dusk 零√



「ううん、ごめん。なんでもない。また明日、会えるよね?」

「……たぶんな」


 そう告げると、零は今度こそ立ち去っていく。もう引き留める言葉もない。私は静かに自分の部屋へと戻っていく。

 部屋に入れば、迷わずベッドへと飛び込む。脳裏に浮かんでくるのは、今日一日零と過ごしたかけがえのない時間の全て。そして、今までの思い出。


「零……好き、なんだよ……本当に」


 声に出して、言葉にしてみる。胸の内にすとんと入って、そしてぎゅっと苦しくなる。誰かを好きになるって……こんなにも切ないものだったんだね。初めて知ったように思う。

 眠い……。このまま眠りに身を任せてしまえば、きっと何も考えられなくなっていつか眠ってしまえるだろう。だったら、今だけは……身を任せて眠ってしまいたい。


 涙は全部、瞼の下で乾いて痕になってやがて消えていく。


 緩やかな闇の中へと、私は落ちていった。




 また次の朝がやってくる。重たい頭をなんとか叩き起こしながら、制服に着替えると一回り自分の身体が重くなる感覚がした。

 教室へと向かう途中、廊下を歩く。


「あら、時東さんじゃない」

「……?」


 えっと、誰? 優姫と零ではない人の声に、少し驚きながら顔を上げればクラスの女子がそこにいた。


「どうも……」

「最近錐生君、あまり登校して来ないわね」

「そうですね……」


 なんで急にそんなことを私に聞くのだろう? 数人が集まって、廊下を塞ぐ。当然そのせいで私は通れないわけで……。

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