第20章 guilty 零√
「お前は……どうして俺を拒絶しないんだ?」
「え……?」
「こんな化け物の俺に、どうして黙って血を差し出す真似をする。もう……自分の事なんて、どうでもいいとでもいうのか?」
「そういうわけじゃないよ……」
「だったら何故、嫌がらない! やめろと言わない! 俺は……お前の血を啜る度に、お前の心の内さえも飲み干しているみたいに感じて……俺はお前の優しさを利用しているのだと。そう、実感させられる」
「私は別に優しいわけじゃないよ」
貴方が私に優しいから、だからきっと私は零に優しくなれるだけなんだよ。
「全部、全部あげる……この血を呑むことで零が、少しでも零としての意識を繋ぎとめる手助けになるなら。私は望んでこの血を零に、捧げるよ」
「……そんな言葉っ、軽々しく口にするな!!」
「軽々しくなんてないっ!!」
私の怒鳴り声がこだまする。思いがけない私の声に、零は動揺の色を見せながら視線を泳がせる。
「なんで……俺に、ここまで……」
「貴方が私に、してくれたように私もするだけなんだよ」
貴方は私を眩しいというけれど、それは私も同じなんだよ? 零。
「……っ」
「……んっ」
痛みと共に、零が血を啜る音が聞こえてくる。
私は間違っているのかな? こんなことをしても、零にとっては迷惑でしかない?
「零……」
彼の頭を優しく撫でる。ああ、私はこんなにも……。
「零、大好き……誰よりも……好きだよ」
こんなにも、零のことが好きなんだ。