第20章 guilty 零√
「どうしてかな……俺は、他の何を犠牲にしてでも……珠紀に、幸せになってほしいと思うんだ」
「……零だって、零にだって幸せになる権利はあるのに! どうしてそんな……っ」
「何泣きそうな顔してんだよ。もしも俺が、お前の前からいなくなった時は……もう全部、俺の事は忘れてくれ」
「零!」
「嫌なんだ……お前の中に、俺の存在が残るなんてことは。忘れてほしい、全て」
衝動的に、零を抱きしめた。
ぎゅっと身体を抱いて、逃がさない様に……離さない様にと。
「忘れない! 絶対に、忘れたくない……っ」
「俺にはお前が眩しすぎて、太陽みたいで……直視できないくらい、珠紀にどこか憧れていたんだ。その眩しさの中で、俺も照らしていてほしいだなんて。エゴだよな、俺」
「そんなこと……っ」
そっと、零が私の肩を掴んで目が合ったと思えば。
唇が重なる。
「んっ……!?」
「んんっ……、逃げんな……んっ」
角度を変えて、何度も口付けられる。酸素を求めて唇を開けば、隙間から生暖かい舌が入り込む。舌を絡め取られて、頭の中がごちゃごちゃに混ざり合っていく。
ようやく唇が離れたかと思えば、零は私の首筋へと顔を埋める。いつもの行為なのだと察した私は、黙って首を差し出す。