• テキストサイズ

Bloody Signal

第20章 guilty 零√



「ぷっ、お前ほっぺにクリームついてる」

「えっ!? どこ?」

「ここだ」


 そう言って零が、舌で私の頬についたクリームをぺろりと舐め取った。


「ぜ、零!?」

「手で拭うのが面倒だった。取れたからいいだろ」


 くすっと笑う零に、思わずドキッとしてしまう自分がいた。隣で笑う彼が、あまりにも自然すぎて……思わず幸せだなぁと思ってしまう。


「俺のお気に入りの場所に行ってもいいか?」

「いいけど……よく街には出るの?」

「いや、頻繁にじゃないけどな。たまに」

「プリクラとか、撮ってみたい」

「……優姫みたいなことを言うな」


 他の人達から見れば、私と零はどう映るのだろうか? どう、見えるのだろうか?


「零のお気に入りの場所って、静かなところのイメージある」

「当たり。風が心地よくて、綺麗な海がそこからなら見えるんだ」

「いいね、そういうの」


 零の教えてくれる世界を、もっと見てみたい。貴方が見つめる世界を、私も一緒に見つめていたい。共有は出来なくとも、同じ場所にもし立てたなら。少しくらいは叶うだろうか?


 暫く歩いた先、展望台へと辿り着く。そこまでくると、人気はほぼなく私達だけに思える。展望台をゆっくりと上って行くと、その先に見えるのは何処までも続く海だった。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp