第20章 guilty 零√
「ぷっ、お前ほっぺにクリームついてる」
「えっ!? どこ?」
「ここだ」
そう言って零が、舌で私の頬についたクリームをぺろりと舐め取った。
「ぜ、零!?」
「手で拭うのが面倒だった。取れたからいいだろ」
くすっと笑う零に、思わずドキッとしてしまう自分がいた。隣で笑う彼が、あまりにも自然すぎて……思わず幸せだなぁと思ってしまう。
「俺のお気に入りの場所に行ってもいいか?」
「いいけど……よく街には出るの?」
「いや、頻繁にじゃないけどな。たまに」
「プリクラとか、撮ってみたい」
「……優姫みたいなことを言うな」
他の人達から見れば、私と零はどう映るのだろうか? どう、見えるのだろうか?
「零のお気に入りの場所って、静かなところのイメージある」
「当たり。風が心地よくて、綺麗な海がそこからなら見えるんだ」
「いいね、そういうの」
零の教えてくれる世界を、もっと見てみたい。貴方が見つめる世界を、私も一緒に見つめていたい。共有は出来なくとも、同じ場所にもし立てたなら。少しくらいは叶うだろうか?
暫く歩いた先、展望台へと辿り着く。そこまでくると、人気はほぼなく私達だけに思える。展望台をゆっくりと上って行くと、その先に見えるのは何処までも続く海だった。