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Bloody Signal

第20章 guilty 零√



「珠紀! おい、いつまで寝てるつもりだ。いい加減起きろ」

「……んっ、零……?」

「気持ちよく寝やがって。熟睡しているなんて珍しいな、なかなか起きないから少し心配した」

「……夢を見たの。昔の夢、病院にいた頃の夢」 

「……。そんなものを見ていたのか、もっと早く起こしてやればよかったな」

「ねぇ、零」

「なんだ?」

「……私は、ヴァンパイアに襲われたの?」

「……なんでそんなことを聞く」


 瞳に映った零は明らかに怒っていた。それでも私は、言葉を続けた。


「あの日、ヴァンパイアに殺されかけて……そして私は生き延びて。そして……あの病室で眠っていたの? 両親は、もしかして……ヴァンパイアに?」

「それ以上無駄口を叩くな。誰かがお前に両親はそうなんだと、言ったのか?」

「ううん……違うよ」

「あの日の事実を、実際は誰も知らない。お前を病院まで運んだのはそもそも、理事長ではないし」

「そうなの……?」

「何者かが、お前を病院に運んでくれたみたいだな。大方ヴァンパイアハンターの誰かなのか……手に余るものだから、理事長に託したんじゃないか?」

「そうなのかな……」


 じゃあ、一体誰が私を病院まで?


「お前は酷い怪我をしていたそうだからな、助かったのは奇跡だって医者が言っていたのを今でも覚えているよ。そのナルコレプシーも、後遺症に近いのかもしれないな……助かっただけ、良しとするべきか」

「私を病院に運んでくれた人、誰かわからないのかな?」

「無理だろう。理事長でさえ知らないのだから」

「そっか……お礼、言いたかったな」


 どんな形であれ、今私はここにいられることが嬉しいと思っている。生きていて、よかったと。だからせめて一言だけでも、お礼が言えたらよかったのにな。

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