• テキストサイズ

Bloody Signal

第20章 guilty 零√



 私達は共に残酷で愚かだと思う。


「……痛むか?」

「大丈夫だよ」


 手を繋ぐ。そのぬくもりでさえ、何処か遠く感じる。零の心の内が見えない。彼が一体どうしたいのか、今何を思っているのか。汲み取れる程私は、まだ彼のことを知らなさすぎるのかもしれないと思った。


「早く戻らないとな」

「ねぇ、零」

「なんだ?」

「今度……街に行きたい」

「……。今度と言わず、明日行くか? 俺も特に予定があるわけじゃないし」

「いいの? 明日……普通に学校ある日だよ?」

「いいんだよ。別に一人でサボるわけじゃないし」


 ぎゅっと強く手を握る。このままずっとこうしていたいなんて、そう思ってしまう自分が愚かで堪らない。


「明日俺が起こしに行くから、お前は特に目覚ましを用意しておく必要はないぞ」

「いいの? ちゃんと時間教えてくれたら、起きるよ?」

「いいよ。俺もお前と出かけたいからさ」


 ようやく私の寮へと到着する。明日の約束があるからか、互いに惜しむことなく手を離した。


「零、私でよかったらちゃんと頼ってね?」

「急にどうしたんだよ……」

「急にじゃないよ。ずっと考えていたことだよ。零が……そうなってしまったことを知ってから、ずっと」

「そんなこと、お前にはどうでもいいことだろ。じゃあ、また明日な」

「零……っ!」


 零は逃げるように立ち去っていく。そんなにこの話は、彼にとって人としたくないことなのだろうか。一人で抱えなくてもいいのに……私でも、それこそ優姫だって近くにいるのに。もっと、もっと頼ってくれてもいいのに。

 私は少し肩を落としながら、手早く自分の部屋へと向かった。









 夢を見た。懐かしい……そう、思える夢。

 白い天井、白い部屋。そして独特な薬品の香り。ここは……。

/ 276ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp